今週、設計業界でまたもや不祥事が発覚。偽造していた…それは建築物ではなく、建築士の偽造なのです。事件を要約しますと、一級建築士の免許を偽造し、建築士として勤務していたケースが3件、さらに1件が明らかになったのです。
おぃおぃ、みな苦労して資格取ってんだよ!受験の頃は経験不足から仕事が深夜まで及び、休日出勤なんてざら。自由な時間が少ない。その時間の合間を縫ってよく勉強しました。往復の通勤電車の中はもちろんのこと、出張の新幹線の中、休憩のサービスエリア、とにかく勉強できる工夫を。
弊社も2人のチャレンジャーがいます。仕事と勉強の両立の難しさ…わかるなぁ。まるで受験生をかかえる親の気持ちです。
さて冒頭「またもや」と申しましたのは、つい先頃、一級建築士、それも設計事務所の経営者が強盗殺人容疑で逮捕されたからです。私たちの設計業界は、世間を騒がせた2005年の構造計算書偽造事件により、大きく『信用』が失墜しました。
もともと建築士法は『性善説』にもとづいた法律だったのが『性悪説』に変わりました。建築士はその業務において悪いことをしないことが前提だったものが覆されたのです。
例えば建築物を建てる時『許可申請』ではなく『確認申請』という書類を建築士が作成します。確認申請には建築物の図面や構造計算書を添付し、審査する役所などに提出します。それは『許可』ではなく、その『確認』を得る行為なのです。その根幹は、法に適合しているかどうかを確認する作業であり、建築士が(資格を含めて)偽装する可能性を捜査する作業ではなかったのです。
耐震偽装の発覚後、当然のことながら法改正により確認申請の審査は厳しくなりました。まず、審査期間が長くなりました。これによってオーナー様の建築物の使用開始も遅れます。法改正の直後の大型建築物の場合は、審査が半年に及んだことも。その事業の営業戦略にも影響します。
そして、審査手数料も高額になりました。弊社が手掛けるパチンコホールやスーパー銭湯は床面積が大きく、完成時の完了申請まで含めると軽く¥100万を超えることも。オーナー様のご負担も大きい。結局のところ、偽装という不正により迷惑を被ったのはエンドユーザーであるオーナー様です。
建築士法 第一条
この法律は、建築物の設計、工事監理等を行う技術者の資格を定めて、その業務の適正をはかり、もって建築物の質の向上に寄与させることを目的とする。
『業務の適正』と『質の向上』私たちの職務はオーナー様の建築物を守ること。にもかかわらず、建築士による免許の偽造、耐震偽装、強盗殺人。
信用される建築士である前に
信用される社会人でなくてはならない。
信用される社会人である前に
信用される人間でなくてはならない。