『 限界にっぽん / 海外、まず自分が出よう 』そう題したある新聞記事。税金が安く、投資や利益の送金がしやすい海外に本社機能を移す日本の企業が増えている内容で、まずは経営者が出よう!と促している内容です。
この日本に停滞感(新聞では限界と表現)のある中、本社の海外移転は会社を守るためなのですが…その分、日本の税収は減ってしまいますね。その結果として、日本で働くその従業員にとっては、生活環境が向上しないことに繋がらないでしょうか?新聞記事を読んで私はそう考えます。
例えばコンビニエンス・ストア。私は帰社する際に、あえて道中の店舗は利用しません。弊社に最寄りの店舗を利用するようにしています。その店の売り上げに少しでも貢献したいから。これは以前に、郊外に住んでいたときも同様。自宅から離れたスーパーがお得な品揃えがあっても、地元の店舗で買い物をするようにしていました。最も身近な店舗が潰れて不便になったとき…その有り難味が身にしみていてはもう遅いのです。
バックパッカー(低予算で国外を個人旅行)でスイスに行ったときのこと。田舎の駅で現地の人と会話する機会がありました。スイスの国は小さく(九州ほど)、物価は高いのですが、自分たちの国を守るために物価の安い隣の国には買い物に行かない、とその人は言うのです。日本にもそんな国民性があってほしい。
新聞には、経営者やその本社機能を海外に移す企業に対し、賞賛の言葉ばかり並んでいましたが、私にとってはまったく賛同できませんね。企業ってそんなもの?企業が潰れてもいけませんが、だからと言ってその企業を育んでくれたこの故郷、この国を見捨てて海外逃避なんて薄情すぎないかと。
物事の損得は自分中心の『得』を考えがちですが、もっと身のまわりやその地域の『得』も考えないと、結果として自分が『損』をするのではないでしょうか。理想と現実の狭間で難しいことではありますが。