【#17】時間
今回は少し昔を振り返り、私の記憶に残る建物をご紹介します。それは京都市中京区にあるコンクリートブロック造の商業施設「TIME’S」です。こちらは言わずと知れた日本建築界の巨匠・安藤忠雄さんの初期の作品です。
京都市内には他にも多数の安藤建築がありますが、その中でも「TIME’S」が特に僕の興味を引いたのは、この建物の高瀬川との『距離感』でした。通常、川と建物は出来るだけ避けるのが一般的の中、あえて川を建築に取り込んでしまうという考えに斬新さを覚えました。
周りの建物よりもかなり低い高さに設計されており、川のスケール感と合ったデザインとなっています。
看板の1階の表記が『RIVER LEVEL』となっているのがオシャレで、学生時代に課題で真似をしたのを思い出します(汗)
テラス部分は、高瀬川の水面上に浮かんでいるような印象を与えています。建物自体は立体的に空間を形成しており、様々な角度から川を眺めることができるように設計されています。
内部は非常に複雑で、京都の裏路地のような雰囲気を醸し出していますが、通路が入り組みすぎたせいか奥の店舗などは分かりにくく、テナントの入れ替わりは激しいようです。久々に目当てのお店で買い物を…と思って訪れたのですが、すでに撤退していました(涙)
この風景を見ているとなんだか『刻(とき)』が止まったような穏やかな感覚に陥ります。それこそが至福の時間といえるのかもしれませんね。