先日、建設工事費の競争入札を行ったときのこと。数社の建設会社から提出された見積書は封印され、オーナー様がハサミ入れて開封しました。そして早速、私も一緒に見積書に目を通すことに。ひと通りのチェックを終えたオーナー様が、声をかけたいとお話しされた建設会社は…
見積り参加した数社のうち、なんと!『工事費が最も高い』建設会社だったのです。通常は少しでも工事費を安価に抑えるために設計図に基づき競争入札を行います。にもかかわらず、最高値へのご指名とは…
オーナー様にその理由をお聞かせ願うと『見積書の内容が最もシッカリしてるから』
常日頃、私たちが作成する設計図の内容も『見積りしやすい図面』となりますように、シッカリとした作図を心がけております。見積り落としが多いと工事にしわ寄せがきたり、着工後の追加金額となって結局はオーナー様にはね返ることもあるからです。
シッカリとした設計図を活かすためには、シッカリとした見積書がないといけない。オーナー様とは過去にも工事費の入札を何度も行っておりますが、その信念は、弊社の業務をご理解していただく上で、誠に有り難いことです。
この読者の方々の誤解を招きたくないのは「高値の建設会社をご選択された」ことを私が賞賛しているのではなく『建設会社の姿勢を評価しご選択された』ことなのです。
さて、ご指名を受けた建設会社。過去には見積書が細かすぎるゆえ工事費が高額になり、受注を逃すこともしばしば。しかし、今回に限っては積算の勝利!
でもどうか忘れないでいただきたい。シッカリとした見積書の次は、シッカリとした工事をオーナー様が望まれていることを。余分にかけた金額はその期待料であり、その分、プレッシャーは背負わなくてはいけないのです。
そして、指名できなかった見積り各社へは、お断りを伝える「お詫び状」をお送りしました。その書面には見積書の大切さを書き添えて。