今日は春分の日。この季節の思い出深いオーナー様がいます。10年前にお住まいを手掛けさせていただいたご家族です。本当に久しぶりに電話をおかけしたところ…奥様の元気な声! ちょうどご子息とお出かけのところでした。ご主人様は海外へ単身赴任中。ということはお二人とも孤軍奮闘。ちょうど10年前も…
当時、オーナー様はお住まいの設計をどこに依頼するか、数社をご検討されておりました。住宅に特化したライバル会社もあるなかで選んでくださったのが弊社でした。以前に住宅関係のインテリアのお仕事をされていた奥様のひと言が忘れられません。『私のコダワリを実現してくれるのはオリーブさんしかいない』。オーナー様のご意向が明瞭でしたので、やりとりすればプランは理想形に近づきます。評価していただいたのはその熱意であると確信しております。
計画、設計、そして着工してからもたゆまなくご提案、議論を重ねたのもよい思い出です。小さかったお子様を寝かしつけた奥様から深夜、住まいへの思いのこもったメールが届くこともしばしば。そのうちにご家族の悩みごとや時には子育て論まで。設計には関係ないと思われがちですが、それは間取りから始まる住まいづくりのすべてに活かされました。私たちはそのご家族を好きになってこそ、本当によい設計ができるのです。そしてコダワリの強いオーナー様だからこそあえて正反対の提案も作ってみたり…言われるがままではなく、私たちはプロフェッショナルであることの誇りを持ちつつ、最後はオーナー様の決断を応援するパートナーであり続けました。
ご主人様もお住まいへのコダワリを強くお持ちでした。ところが好みが奥様とピッタリ。ご主人様はお仕事が(超)多忙で休日返上、帰宅も深夜。お打ち合わせの同席は数少なく、工事が始まっても現場へ残念ながら一度もおいでになれません。お住まいが出来上がっていく感動をなんとか伝えたい! 私たちが現場監理から戻って写真つきの監理報告をまとめ、ご主人様のパソコンへメールで何通も送りました。するといつも深夜でまだ仕事中にもかかわらず喜びの返信があり、お疲れのご主人様のよい活力になれたことも嬉しい思い出です。
そしてなんと奥様は工事期間中に次男をご出産! よって携帯電話へ進捗状況の写真をお送りすることに。ご夫婦とも現場での打ち合わせができない!という非常事態でしたが、文明の利器を駆使することにより『お住まいを建てる』ことの感動を伝えることができました。ご夫婦が初めてお住まいに一歩を踏み入れたのは…なんとお引き渡しの日。玄関の框(かまち)を上がったときの歓喜の声が今でも心に残っています。
この扉の向こうにいつまでも幸せが続くことをお祈りしております!